みんなと夜歩く。
たったそれだけのことなのに、
どうしてこんなに特別なんだろう。
ミ★
恩田睦さんの『夜のピクニック』という小説を
ご存知ですか?
2004年に発売された作品で
のちに、多部未華子さん主演で 映画化もされました。
朝 学校を出発して、夜を徹して歩く
「歩行祭」という伝統行事を舞台にした
高校生たちの青春小説です。
次男の通っていた高校にも
似たような行事がありました。
ただし…質実剛健を旨とする男子校なので、
小説のような胸きゅん💕ドラマも
次男には 起こらなかったのですが…( ̄▽ ̄)p
以前、違うブログで書いた記事を
手直しして、再掲します。
👣
出発の朝、
小雨に降られながらも
元気に一歩を踏み出した生徒たち。
雨はすぐに上がったものの 気温も上がり、
その蒸し暑さは
ただただ歩くだけの生徒たちにとって
かなり嬉しくないコンディション…
空の色と同じ、先行きもグレーな予感の
「夜ピク」スタートでした。
👣 👣
保護者の私は、初日の夕方、
歩行途中の安全を見守るお手伝い係。
誘導棒を振って交通整理などしつつ
早くも疲れをにじませて歩く生徒たちに
励ましの声かけをしていると、
意外にも 先頭集団の中にいた次男が
余裕で?私へ手を振りながら、通過。
ココ、ちょっと胸きゅんでした♡
その後、続々とだんご集団と化した生徒たちが
目の前を通過していき…そして、
だんだんと集団もまばらになっていきます。
それでも まだ後方小集団もいるらしい
という情報が届いた頃、
遠目にもふらふらと歩く生徒の姿が目に入りました。
思わず そばまで走っていき
「大丈夫?」と声をかけると、
「大丈夫です…」と気丈に言いながらも
歩みはよろよろよれよれで…ついには道端で嘔吐。
そのまま座り込んでしまった生徒に寄り添い
背中をさすっていると、
後ろから「大丈夫か?」と教員の声。
しばし、2人の間でリタイアしろ・したくないですの押問答があり、
結局、その生徒は・・・リタイアを選択。
号泣しながら救護班の車に乗り込む彼の背を見送る私の胸も ぎゅうっと締めつけられました…
👣 👣 👣
その夜。
自分の係の仕事を終えた後、とあるポイントへ移動。
そこは田舎の一本道が見渡せる場所。
真っ暗な中、
煌々としたライトの隊列が長々と連なる光景は、
とても幻想的で圧巻で…
でも、その1つ1つのヘッドライトに
それぞれ1人1人の根性や意地や葛藤やらが宿っているのかなぁ〜と思うと、
胸がきゅっとなりました。
👣 👣 👣 👣
2日目の朝。
ほとんどの生徒たちの足取りは重く
夜通し歩き続けた疲れが見てとれます。
次男の表情にも笑みがない・・・
けれど、その歩みは止まらない。
私の胸も痛みました。
終盤のルート途中のある地点で、
長男とその彼女も応援に駆けつけ
一緒に沿道に立ってくれました。
生徒たちの中には 長男の部活後輩や次男友達もいて、
私たちに気づくと
笑顔を向けたり会釈したりする生徒たちも…
しかし!
のちに、次男からこの時の感想を聞いたら…
疲れのピークを過ぎ、自棄になってる時、
お気楽そうな大学生が可愛い彼女と連れだっていたから
めちゃめちゃ恨めしかった…だそう😅😅😅
ハハハハハ…💦💦
生徒たちの笑顔や会釈は、先輩への忖度だった!?
そうして、
その約2時間後に
意地を見せた次男は 先頭集団をキープしたまま
完歩できました。
ゴールの空は、青かった…
👣 👣 👣 👣 👣
小さな頃から 不器用で 我が道を行くタイプで
華々しい活躍とは無縁の次男は、
3年間の高校生活においても地味に無難で
彼の身にドラマらしいドラマは起こらなかったに違いありません。
ドラマティックメーカーの「夜ピク」でも同様。
けれど、
満身創痍で何度もリタイアを意識したらしい(次男談)次男の26時間は、
次男にとって十分ドラマティックだったはず。
そう。
ドラマは 劇的でなくてもいい。
それでも、
私には 十分 ドラマティックで
さまざまな場面で
胸が震えた26時間でした。