〜〜アオハルの頃。
当時、市内で演劇部のある高校が合同で作品を発表し合う上演会があった。
それは、高文祭のように文化庁やら教育委員会やら〜立派な大人たちが主催する発表会ではなく、
企画から運営までを(危なっかしい)生徒主体で行うもの。
喩えるなら…ひよっこたちがなんちゃって劇団を立ち上げて上演しちゃうよ♪ みたいな?!
だから、演劇部員にとって
秋の芸術祭は、賞獲りを目指した真面目で真剣勝負な集大成で
夏の上演会は、高校演劇部のスキルアップを目指した自主的で実験的で陽気なお祭りだった。
下級生のときは、
ただ自校の作品で役を演じることだけに終始していた上演会だったけど。
〜〜今年は、私の番だ!
さて。
上演会の企画運営を担う主要スタッフは、各校の部長副部長クラスで構成される。
その年、部長だった私も自動的に企画運営スタッフに名を連ねていた。
新年度のスタートとともに、上演会の準備も始動する。
自分たちの学校の上演作品を作るのと並行して
運営スタッフとしての役割もこなす日々。
運営会議出席のために、約15キロ離れた高校までチャリで向かう。
川を越え 線路を越え 坂を上り下る。
行きは 茜色の空。帰りは 満天の星空。
上演会にかかる費用の一部を賄うプログラムに載せる広告を取るため、市内中心街の商店へ飛び込みの営業をかける。
最初の1軒目こそおずおずと…だったけど、慣れてきたら案外楽しい。女子高生のスマイルは、それだけで大きな営業の武器😁
機材を借りるため、リヤカーを引いて市内の中心街を横断する。
ジリジリしたアスファルト。
機材を載せたリヤカーを引くのは、それに不似合いな女子高生2人組。日焼けを気にしながら、軽トラだったら15分の道のりを 1時間以上かけて歩く。一緒にリヤカーを引く副部長と、歌を歌いながら半分やけくそで。
他校のスタッフたちも、同様だったろう。
上演会の準備は着々と。
会場を借り、プログラムを刷り、リハーサルを重ね、音響や照明機器を操作し、大道具小道具の搬出入から組み立て・・・etc etc
最初は、
他人行儀だった他校のスタッフたちとも
意見を交わし苦楽を共にし協力し準備していくうちに
いつしかプライベートでも語り合える仲間になっていき。
もちろん、大人の手もたくさん借りたけど、
ほとんどを 高校生たちだけで作り上げた。
そして、上演会当日。
オープニングのチャイムが鳴り、
幕が上がった。
スポットライトが舞台下手の進行役を照らす。
それから、
照明が輝き、役者が演技し、音楽が響き、舞台装置が転換し、拍手が鳴り・・・・・・
演劇は生モノで。 刹那的で。 永遠で。
気づくと、エンディングだった。
ディスコサウンドがガンガンかかって
運営スタッフ代表が舞台上でステップを踏んでいた。
最後は お祭りらしく派手に盛り上がる演出を…というのは、スタッフの総意。
ミラーボールのキラキラが会場内いっぱいに反射してて。
踊りながら挨拶しながら代表が泣いてて。
舞台袖で控えていた私の頬にも熱い涙が伝ってた。
そうして、
その年の夏が終わった。
かけがえのない夏だった。
あのとき、自校の劇で女子高生役を演じた女子高生nono ↓
アオハルを生きる君たちの
かけがえのない夏が
かけがえのないものになりますように。